もうそばにいるのはやめました。


じ、自覚なかった……。

反省します。


……ていうか、円、玄関にいたの?



「円、なんで玄関にいたの?」


「え!?」



円の顔がみるみる赤くなっていく。


……もしかして。



「わたしのこと、待ってたの?」



また呆れられるのを覚悟で赤面を覗き込む。


あ。

耳たぶまで真っ赤だ。



「な、なわけ……ねぇ、だろ」



冷たくも迫力もない。


プイとそっぽを向いた横顔は、しくじったかのようにしぶくなってる。



ドキドキとかドックンドックンとかそういう次元を超えて、キュンてした。




「好き!大好き!」


「……知ってる」


「円は!?」


「…………」


「ねぇ!円は!?」


「……うぜぇ」




しょうがないじゃん!

好きなんだもん!あふれちゃったんだもん!


ときめかせた円が悪い。


視線だけをわたしに移した円に負けじと見つめ返す。



「……ほら、入れよ」



早々に逸らされてしまった。


さすがに伝えてくれないか。

不器用だから想定はしてたけど。


言ってほしかったなぁ。


敗北感を募らせながら円の家に踏み入れた。



「おじゃましま……」



す、と言い切る寸前


うしろから温もりに包まれた。


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