もうそばにいるのはやめました。






好きな人との時間ってどうして短く感じるんだろう。



休けい後は勉強に集中できた……のはウソだけど、しっかり取り組めた。


勉強を好きになった気がした。



それは円と一緒だったからで。

でもずっとそばにはいられないわけで。



もうちょっとで、また、“さよなら”。




「送ってくれてありがとう」



あーあ、着いちゃった。


古びたアパートの前。

足を止めたわたしは笑顔を作って平気なフリ。



「今日は楽しかった!」


「……俺も」



太陽から月へ主役交代した夜空は、円のかっこよさを引き立てていてひどくまばゆい。


まだそばにいたいな。

そう思ってるのはわたしだけ?


薄暗い外と相まって、不愛想な円を見ても察しがつかない。



「また、月曜日、だね」


「ああ……じゃあな」


「うん、またね」



円の背中に手を振る。



デートの終わりってなんだか寂しいな。


同居してたときに戻りたい。



月曜日が遠い。



作った笑顔はしおれ、振ってた手は力なく下がる。


早く家に帰って寝たら、その分早く月曜日が来るかな。



寂しさを押し殺してアパートの敷地内に入ろうとしたら、突然円が方向転換してこちらに歩いてきた。


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