もうそばにいるのはやめました。
うざいのはてめーだ、彩希。
それに寧音にかまってるやつが斎藤だからむしゃくしゃしてるんだ。
斎藤以外……あ、あとあいつも。あの幼なじみと斎藤じゃなきゃイライラしない。……たぶん。
「彼氏なんだからもっと余裕もてば?」
余裕なんかあるわけねぇだろ。
“彼氏”にだっていまだに慣れねぇのに。
「竜宝さんモテ期だし、不安なのはわかるけどさ~」
「……やっぱエンディングはなにがなんでも俺が出るべきだった」
「ははっ、ちょー今さら」
「うっせ」
「でも竜宝さんって頭いーし、ちょっと抜けてるところあるし、エンディング出てなくてもいずれはこうなってたんじゃね?」
そんなの知ってる。
あいつのいいところも、だめなところも。
そのだめなところすらかわいいってことも。
俺が初めに気づいたところをどんどん周りに知られて……なんかおもしろくない。
「さっきも廊下で……ほら、テストの結果張り出されてんじゃん?その1位がお前で、2位が竜宝さんだったろ?女子はお前、男子は竜宝さんのことで盛り上がってた」
「……へぇー」
「特に3年の八文字先輩いんじゃん?」
「あー、あの文化祭実行委員長の?」
「そーそー!その人も1位だったらしくて、男女問わず騒いでた。あの人気はやべぇわ」
あの先輩ってどことなくあの幼なじみに似てんだよな。雰囲気はちげぇけど。