もうそばにいるのはやめました。
それにしても寧音すげぇな。
勉強してなくて焦ってたのに学年2位って。
本人もよろこんでたっけ。
『100点はとれなかったけど全部高得点だった!』
『寧音のほうが天才だったんじゃねぇの』
『ちがうよ!寝る間も惜しんで勉強したの!じゃなきゃこんな点数とれないよ……』
『よかったな』
『へへっ、うん!これで安心して円の誕生日の準備ができる!』
テストを全て返却された日の帰り道にそう奮い立っていた。
なにを計画しようとしてるのか聞いてみたら、なぜか挙動不審になった。
『え!?』
『だからなにを準備しようとしてんのって聞いてんの。またケーキ作ってくれんの?』
『えっ、ええっとぉ……その……さ、サプライズだから!聞いちゃだめ!!』
『サプライズがあるってわかってたらサプライズになんねぇんじゃ……?』
何度か探ってみても口を割らなかった。
おかしい。
絶対におかしい。
秘密にしてまでなにを準備してんの?
なにか変なことたくらんでんじゃねぇだろうな?
「あ、まーた彼女に見とれてる~」
からかうときの彩希ってどうしてこう生き生きしてんだろ。
楽しそうだな。
俺はちっとも楽しくねぇ。
「クリスマスイブデートすんだっけ?」
「ああ。……プレゼントどうしよ」
「誕生日なのにお前があげんの?」
「クリスマスプレゼントだ」
あいつならどんな物を贈ってもよろこんでくれるだろうな。
そういうやつだから。
でもプレゼントするなら、あいつが特によろこんでうれしがる物がいい。
俺はただあいつが笑ってるところが見たいんだ。