もうそばにいるのはやめました。
『わたしが作った料理とケーキを食べながら、思ってることを言い合ってほしいな。(たぶん料理おいしくできたよ!あとでほめてね!)
あ、あと!明日こそわたしが1日遅れでお祝いしたいから空けておいてね!イルミネーションデートしたいな。とことんわがままでごめんね。
円の幸せを願ってます。すてきな誕生日になりますように。
寧音より』
要求が多いな。
デートはしたいけど。
予定埋まってても無理にでも空けてやる。
だけど……。
不意に父さんと目が合い、すぐさま顔ごと逸らした。
言い合うことなんかない。
今さらだ。
「……はぁ、よけいなことしやがって」
父さんよりも寧音といたかった。
父さんといても幸せなんか感じない。
息が詰まるだけだ。
手紙を持ったまま自分の部屋に逃げ込もうとした。
「円」
引き留められても無視すりゃいいのに足が勝手に止まる。
「お嬢さまがせっかくごちそうを用意してくれたんだ。そのご厚意を無下にする気か」
これまでほったらかしにしてたくせして、こんなときばっか父親ぶるのかよ。
反発心が沸きあがっていく。
抑えきれなくなる寸前のところで、寧音の笑顔を思い出した。