もうそばにいるのはやめました。


円の手を握って、予約したお店へ向かう。


かじかんだ指先も冷え切った手のひらも、重なり合えばあったかい。



お店の予約、街のイルミネーション、クリスマスデート。

何もかもが初めて。


昨日の料理や飾り……もっと言えば同居から両思いまで、初めてなことはたくさんあって。


そのたびに円がそばにいた。



それってきっとすごいこと。

とっても特別なことだよね。




「ん」



インテリアがおしゃれな洋食店で、チーズフォンデュを食べて舌をやけどした。


食べ終わってもヒリヒリするから水を飲んで応急処置していると、円がラッピング袋を差し出した。



「……これ使えばやけど治るの?」


「ちげぇよ。クリスマスプレゼント」



ぷれぜんと……?



「あ!プレゼント!!」



しまった!

存在ごと忘れてた!!


誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントも。


相松さんのことやら料理の特訓やらで、プレゼントの名のつく物全部まるっと頭から抜けてた。



わたしのバカ!




「円、ごめん!わたし……」


「いいよ。どうせ忘れてたんだろ」


「はい……」


「プレゼントなら十分もらったから気にすんな」


「へ?」


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