もうそばにいるのはやめました。






暗くなっていくにつれて、人が多くなっていく。


特にカップル。

あっちでもこっちでも、クリスマスムードにあてられてイチャイチャしてる。



うらやましがっていると、人混みに流されそうになった。



「わわっ!?」


「あっぶねぇな」



すぐに円が手を握ってくれたおかげではぐれずに済んだ。



この道の先にあるイルミネーションはここらへんでは有名なところらしく、ゆだんしたら迷子になってしまいそう。


正直イルミネーションをなめてました。

こんなに混雑するものなんだね。



だけどいいこともある。


円と自然に手をつないじゃった。ラッキー。



「……あ、待って」


「なに?」


「こっちのつなぎ方がいいな」



ぴったりくっつけた手のひらをそのままに、指を交互に絡めた。


こっちのほうが恋人っぽくて好き。

恋人つなぎって呼ばれてるくらいだし。


満足げにしていたら、急に円の指の力が強まった。



「痛い痛いっ!」



圧がすごいよ!

隣にとがった視線を送る。


んべ、と円は舌を出して挑発してきた。



「意地悪!」


「強く握らねぇとどっか行っちまうじゃねぇか」


「そう簡単にはぐれないよ!」



強かろうが弱かろうが、手をつないでるから平気。


わたしは円のそばを離れないよ。


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