もうそばにいるのはやめました。
*
暗くなっていくにつれて、人が多くなっていく。
特にカップル。
あっちでもこっちでも、クリスマスムードにあてられてイチャイチャしてる。
うらやましがっていると、人混みに流されそうになった。
「わわっ!?」
「あっぶねぇな」
すぐに円が手を握ってくれたおかげではぐれずに済んだ。
この道の先にあるイルミネーションはここらへんでは有名なところらしく、ゆだんしたら迷子になってしまいそう。
正直イルミネーションをなめてました。
こんなに混雑するものなんだね。
だけどいいこともある。
円と自然に手をつないじゃった。ラッキー。
「……あ、待って」
「なに?」
「こっちのつなぎ方がいいな」
ぴったりくっつけた手のひらをそのままに、指を交互に絡めた。
こっちのほうが恋人っぽくて好き。
恋人つなぎって呼ばれてるくらいだし。
満足げにしていたら、急に円の指の力が強まった。
「痛い痛いっ!」
圧がすごいよ!
隣にとがった視線を送る。
んべ、と円は舌を出して挑発してきた。
「意地悪!」
「強く握らねぇとどっか行っちまうじゃねぇか」
「そう簡単にはぐれないよ!」
強かろうが弱かろうが、手をつないでるから平気。
わたしは円のそばを離れないよ。