もうそばにいるのはやめました。


ハルくんにまで指摘されるなんて。


そんなに疲れてるように見える?



「僕にウソは通用しないっすよ?」


「う、ウソじゃ……」


「姫が背筋を伸ばして笑ってるときは、たいてい強がってるかなにかを隠してるときっす」



さすが元専属執事。


わたしのことなんでも知ってるね。


わたし今もしゃんとしてた?

完全に無意識だった。



「なにがあったんすか?」



なにか、じゃなく、なにが。

断定的な言い方。


ハルくんには敵わないな。



「……相談、乗ってくれる?」


「もちろんっす!」



自分でなんでも解決できるようになりたいのにうまくいかない。


頼って、甘えて。

好きな人にも無理させて。


わたしってつくづく弱いなあ。



商店街を過ぎ、小さな公園に立ち寄った。


わたしとハルくんしかいない夜の公園はひどく静かで哀愁が漂う。



「……相松さんっておぼえてる?」



ふたつのブランコがギィ、と軋む。



「旦那さまの秘書だった人っすよね?その人がどうかしたんすか?」


「相松さんが、円のお父さんなの」


「円って……あいつ、すか」



あいつ。……うん、たぶん合ってる。

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