もうそばにいるのはやめました。



「振られちゃったなぁ……っ」



いけるって

両思いだって


本気で信じてた。



初めての恋だった。



円にとってわたしはなんだった?


妹……みたいだったのかな。



『ごめん』って言ったとき、部屋を出て行ったとき。

円はどんな表情をしてた?


自分のことでせいいっぱいでなにも見えなかった。


見ないようにしてた。



わたしのぐちゃぐちゃな泣き顔を見られたくなかったから。



「……けどよかった」



同居は終わり。

円が気まずく感じることもないね。


告白する前は離れたくないって惜しんでたくせにわれながら調子いいな。



でも後悔はしてないよ。


初恋が叶わなくたって、円を好きになってよかった。

本当だよ。



この涙は、そういう涙。



いくら拭っても涙があふれ続ける目元はだんだん赤く腫れていく。


気にしないフリをしてひたすら荷物を詰めていった。



ダンボールに雫がポタポタ落ちる。

この跡もすぐに乾く。



この想いは……


すぐに消すのは無理だろうな。



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