もうそばにいるのはやめました。
「ありがとうハルくん!」
ハルくんの胸に抱きついた。
見つけた。
後悔の打ち消し方。
ハルくんのおかげだよ!
いつもはしがみつくように背中に回されるハルくんの手は、今日はポンポンと2回背中をさするだけだった。
「わたし行ってくる!」
「……っ、が、頑張ってください!」
エールにガッツポーズを返し、公園を飛び出した。
冷たい風を顔面に受けてちょっと痛い。
けれど足を止めずにひたむきに走っていった。
少し遅れてハルくんも公園を出ると、木陰からナツくんが姿を現した。
「に、兄ちゃん!なんで……」
「お前が遅いからだろ」
ナツくんの視線はビニール袋を指していた。
ハルくんはおつかいの途中だったことを今さらながら思い出す。
「もしかして、聞いてた……?」
「うん、聞いちゃった」
「……趣味わる」
「そんな悪態つく元気があるなら安心したよ」
さっきはわたしの背中をさすってくれていたハルくんが、今度はナツくんにさすられる。
涙腺がゆるんでいった。
「あきらめないんだろ?可能性は無限大なんだろ?」
「っそうだよ!なにも姫のそばにいていいのは1人だけとは限らないし、姫が誰を好きでも僕は……!」
「うん。悔しいな。苦しいな。いいよ、今日はお前の愚痴を聞いてあげるよ」
ハルくんは涙がこぼれないように夜空を仰いだ。