もうそばにいるのはやめました。
わたしたちにぴったりでしょ?
わたしのものだと言い張ったり独占したりしたいけれど、一番はやっぱりそばにいたいよ。
円をそばに感じたいし
円にも感じてほしい。
「これがあれば、いつどこにいたって円のことを感じられる。円のそばにいられる気がしたの」
感じるだけ。気がするだけ。
それでもいいの。
「好き」が自惚れじゃないことはもうわかってるから。
「だから、ねぇ、円」
わがままはやめるね。
「相松さんのところへ行って?」
「……寧音は、大丈夫なのか……?」
「わたしはだいじょ……うぶ、じゃないけど……寂しくてたまらない、けど!」
ちょっぴり怖いけど不安はないよ。
円からもらったマフラーとバレッタもあるし、2人の思い出も数えきれないくらいある。
「そばにいるのをやめるわけじゃないから。だから……うん、やっぱり、大丈夫!」
ウソじゃない。
強がりでもない。
本当だよ。大丈夫だよ。
今にも泣き出しそうな円の頬に触れる。
優しく微笑みながら背伸びをした。
一瞬の口づけ。
初めて自分からキスしたから上手にできたかわからない。
だけどわたしの気持ちは届いたはず。