もうそばにいるのはやめました。
円もそうだったらいいな。
寂しさに耐えられなくなったら、うざいくらい国際電話かけてね。
「円のほうこそ浮気しちゃやだよ?」
「しねぇよ」
「でも周りがほっとかないよねきっと。あっちでもモテるんだろうな」
「モテんのはそっちだろうが。手紙だってすげーもらってたし」
円、知らないの?
円と付き合ってるうわさが流れてから、ピタリと来なくなったんだよ。
「エンディング効果はとっくに切れちゃったよ」
ちょっと残念。
バイオリンをほめられたのはうれしかったな。
「でもお返事は書いたよ。手紙ありがとうございましたって」
「書かなくていいよ。あっちが勘違いするだろ」
「……ヤキモチ?」
「…………ああ」
わあ、素直。
めずらしい。
円だけがずっとわたしを好いてくれるなら、これから二度とモテ期が来なくていい。
「ふふ。わたしは円だけだよ?」
「ずっと俺だけ見てろよ」
「円しか見えないよ」
初めての恋。初めての彼氏。
これが最後になったらもっと幸せ。
触れられないのは、ずっとじゃない。
ちょっとだけ。
そのちょっとが、国のちがいなだけ。
会いづらくなっちゃうけど、一生会えなくなるわけじゃない。
大好きな円のそばにいるのをやめたりしないよ。