もうそばにいるのはやめました。
*
――ピンポーン。
月が現れたころ。
インターホンが鳴った。
お父さんとお母さんが迎えに来たんだ。
玄関に置いておいたダンボール1箱。
つい先ほど片付け終えたもう1箱を持って、殺風景になった部屋を出る。
ここに残すものはなにもない。
あっちゃいけない。
「「あ」」
ばったり円と出くわした。
かち合った視線をぎこちなく逸らす。
わたしも不器用になっちゃったみたい。
「…………」
「……あ、」
無言でダンボールを奪われた。
持って行ってくれるんだ……。
告白して、振られて、たった数時間。
どうして優しくできるの。
わたしはお礼も言えずにいるのに。
やだな。
今はわたしのほうが感じ悪い。
「お父さん、お母さん……久し振り」
「寧音!」
「寧音ちゃん……!」
扉を開ければ、両親が勢いよく抱きついてきた。
約5ヵ月振りだね。
ちょっと痩せた?
涙もろいところは変わってないね。
「寧音!寧音……!あぁ、やっと会えた……!!」
「ちょっと見ない間に大きくなって……!」
「ふふっ、大げさだよ」
「大げさなんかじゃないわ。ねぇ、あなた?」
「ああ。本当に……立派になった」