もうそばにいるのはやめました。






――ピンポーン。




月が現れたころ。

インターホンが鳴った。


お父さんとお母さんが迎えに来たんだ。



玄関に置いておいたダンボール1箱。


つい先ほど片付け終えたもう1箱を持って、殺風景になった部屋を出る。



ここに残すものはなにもない。

あっちゃいけない。



「「あ」」



ばったり円と出くわした。


かち合った視線をぎこちなく逸らす。

わたしも不器用になっちゃったみたい。



「…………」


「……あ、」



無言でダンボールを奪われた。


持って行ってくれるんだ……。



告白して、振られて、たった数時間。

どうして優しくできるの。


わたしはお礼も言えずにいるのに。


やだな。
今はわたしのほうが感じ悪い。



「お父さん、お母さん……久し振り」


「寧音!」

「寧音ちゃん……!」



扉を開ければ、両親が勢いよく抱きついてきた。


約5ヵ月振りだね。

ちょっと痩せた?


涙もろいところは変わってないね。




「寧音!寧音……!あぁ、やっと会えた……!!」


「ちょっと見ない間に大きくなって……!」


「ふふっ、大げさだよ」


「大げさなんかじゃないわ。ねぇ、あなた?」


「ああ。本当に……立派になった」



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