もうそばにいるのはやめました。


出会った当初はノックすらされなかった。


ということはノックするようになっただけマシ……?


い、いやいや!
だまされるな、わたし!


先月――7月の1日に花のセブンティーンになった年頃の女の子の部屋に、ノックなしで入ってくるのはどう考えてもマナー違反だよね!?



「……ん?なんだこれ」


「え?……あっ!!」



そ、それは……!

さっき押し込んだはずの下着!!


円が拾った白レースのソレをすぐさま奪い返す。




「……み、見た?」


「見た」


「そ、そこはウソでも『見てない』って言ってよ!」


「別に初めてじゃねぇし。今さらだろ」




もうっ!デリカシーの欠片もないな!



顔を真っ赤にするわたしをからかうみたいに、円は片方の口角だけ持ち上げる。


八つ当たりするように下着をダンボールの奥底に沈めてやった。



まあたしかに今さらではあるけど!

それもこれも全部円が悪いんだからね!



まだノックをしてなかったころなんか特にこういうことがままあった。



『あ』

『!!??』


お風呂上がり、脱衣所に円があやまって入ってきたり。



『朝飯……』

『ぎゃあ!?』

『なんだよその悲鳴』


制服に着替えてる途中で部屋まで呼びに来たり。



『これ落ちてたぞ』

『え?』

『ん』

『ありが……っ!?』


恥じらいもなく下着をそのまま渡しに来たり。

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