もうそばにいるのはやめました。
反射的に顔を向ける。
助け船を出してくれたのは、武田くん。
男女問わず人気のあるムードメーカーだ。
パーマがかった色素の薄い茶髪。
ちょっと着崩した制服。
彼の存在感も相まっておしゃれに感じる。
円とは小学校からの友だちで、親友らしい。
もちろん円だけじゃなく、クラスメイト皆と仲がいい。
『竜宝ってめずらしい苗字だな。なんかかっけー』
入学当初、円しか知り合いのいなかったわたしに、初めて話しかけてくれたのが彼だったっけ。
「そろそろ席替えしましょーよー」
武田くんの提案に、次々と賛同の声が上がる。
「最初からそのつもりだ。席替えしたら文化祭について決めるからな」
席替え!
そしてきた、文化祭……!!
さらに周りがにぎやかになる。
わたしのテンションもちょっと上がった。
くじ引きで決めた新しい席。
わたしは窓際から2列目のうしろから2番目。
やった!うしろだ!
わたしのクラスは男女男女と列を作っているため、隣は必然的に異性になる。
隣の席は誰になるんだろう。
「お、隣は竜宝さんか」
隣の席に移動してきた武田くんが椅子に座った。
次の隣は武田くんか!
「よろしくな~」
「うん、よろしくね武田くん!」
「……あれ?」