もうそばにいるのはやめました。
「もう1人、やりたいやついないか?」
委員会は各クラス2人ずつ。
あと1人、誰になるんだろう。
「円、やんねぇの?」
「……なんでだよ」
武田くんと円の会話が、文化祭に切り替えたばかりの脳内に直で流れ込んでくる。
うわーん!席近いせいで聞こえちゃうよおお!!
「竜宝さんの世話係じゃん」
「誰が世話係だ。なった覚えねぇよ」
「ふーん?じゃあ円クンはジェントルマンだったのか~」
「くん付けもジェントルマンもやめろ。そう言う彩希がやればいいじゃねぇか」
「やってもいいんだ?」
「…………いいっつってんだろ」
「ふはっ。なに今の間」
わーわー!わたしはなにも聞こえませーん!!
精神統一!南無阿弥陀仏!
じゅげむじゅげむ……!
「んじゃあ俺やっちゃおうかな~?」
「あの……!」
武田くんの独り言にソプラノがかぶさる。
透明感あふれる、穂乃花ちゃんの声。
……声までかわいいの、ずるいな。
「斎藤?どうした」
「あたし、立候補します。男女1人ずつって決まりはないですよね?」
「女子2人でもいいにはいいが……斎藤には学級委員の仕事もあるだろ。大変じゃないか?」
「大丈夫です」
「……まあ、本人がやる気なら反対はしないが……。皆もいいな?」