もうそばにいるのはやめました。
――ガラッ!
突然扉がスライドされた。
「はーい、注目。これから委員会を始めます」
たった今やってきた男の子が前に立つと、ざわついていた空気がしんと静まり返る。
「皆さん、はじめまして。文化祭実行委員長の八文字です。よろしくお願いします」
あれ……?
栗色の短髪、焼けた肌、端正な顔立ち、右目の下のほくろ。
それに「八文字」という苗字。
緑チェックのネクタイってことは3年生……ふたつ上だ。
あの人は――。
思わず凝視していると、委員長もこちらを見た。
二コリと微笑まれる。
やっぱり、間違いない。
わたしの知ってる”彼”だ。
「まずクラスで決めた出し物の候補を第三希望まで教えてください」
委員長の進行に従い、1年生から順に伝えていく。
ちなみにわたしのクラスはもめにもめた結果
第一希望がメイド執事喫茶
第二希望がメイド喫茶
第三希望が執事喫茶
となった。
どうしても喫茶店がやりたかったみたい。
喫茶店にメイドと執事の要素って必要なの?
ひととおり希望を把握し終えると、出し物を調整していった。
お化け屋敷や屋台は多すぎたらいけないらしい。
わたしのクラスは第一希望がすんなりとおった。