もうそばにいるのはやめました。


――ガラッ!


突然扉がスライドされた。



「はーい、注目。これから委員会を始めます」



たった今やってきた男の子が前に立つと、ざわついていた空気がしんと静まり返る。



「皆さん、はじめまして。文化祭実行委員長の八文字(ハチモンジ)です。よろしくお願いします」



あれ……?


栗色の短髪、焼けた肌、端正な顔立ち、右目の下のほくろ。

それに「八文字」という苗字。


緑チェックのネクタイってことは3年生……ふたつ上だ。



あの人は――。



思わず凝視していると、委員長もこちらを見た。


二コリと微笑まれる。


やっぱり、間違いない。

わたしの知ってる”彼”だ。



「まずクラスで決めた出し物の候補を第三希望まで教えてください」



委員長の進行に従い、1年生から順に伝えていく。


ちなみにわたしのクラスはもめにもめた結果

第一希望がメイド執事喫茶
第二希望がメイド喫茶
第三希望が執事喫茶

となった。

どうしても喫茶店がやりたかったみたい。


喫茶店にメイドと執事の要素って必要なの?



ひととおり希望を把握し終えると、出し物を調整していった。


お化け屋敷や屋台は多すぎたらいけないらしい。


わたしのクラスは第一希望がすんなりとおった。

< 32 / 191 >

この作品をシェア

pagetop