もうそばにいるのはやめました。
「出し物が確定したところで……次にステージのラストを飾るエンディングについてなんですが、今年はどうするか話し合いたいと思います。なにか意見のある人はいますか?」
「……エンディング?」
「この学校の文化祭って、体育館のステージと中庭に設置する野外ステージでいろいろパフォーマンスするの。バンドとか合唱とかダンスとか。その2つのステージにはそれぞれにオープニングとエンディングがあって、オープニングは毎年生徒会が何かやるらしいんだけど、エンディングは文化祭実行委員が決めるんだよ」
「へぇー!そうなんだ!」
「去年は事務所に入ってるってうわさの歌のうまい人がソロで歌ってた。あたしも学校見学がてら遊びに来たんだけど、エンディングすごかったよ。感動した」
穂乃花ちゃんは去年の感動を思い返し、感嘆の息を漏らす。
説明を聞いてるうちに野外ステージのエンディングが決定していた。
公開告白をするらしい。
愛の告白、友だちへの暴露、涙のメッセージ……。
毎年恒例化していて盛り上がるんだそうだ。
「あとは体育館のステージのほうだけど……どうですか?案ありますか?」
エンディング……うーん、なにかいいアイデア……。
去年はソロのライブだったんだよね。
文化祭最後のステージ……感動…………あっ。
「バイオリン……」
鼓膜の奥でうっすらとパッヘルベルの「カノン」が再生された。
『もしかしてこれ全部円くんの!?』
『そうだけど……』
『えー!すごいっ!!』
ガラス張りの棚に並べられたたくさんの賞状が、まぶたの裏に浮かび上がる。