もうそばにいるのはやめました。
最悪で最高な日
書きなぐった日誌を担任に届けた。
日直ってだるい。
「失礼しました」
職員室から退出すれば、
「円~」
横から腕が伸びてきた。
「ほい」
「わりぃ、待たせた」
「いーって。宿題5回分で勘弁してやんよ」
「……さりげなく楽しようとしてんじゃねぇよ」
「バレた?」
バレバレだわ。調子のんな。
てへ、なんてかわい子ぶる彩希の腕にかかったカバンを雑に奪った。
「んじゃあ帰ろーぜー」
「ああ」
窓の外は一面オレンジ。
だんだん暗く、濃く、染まっていく。
日直の仕事でけっこう時間かかっちまった。
……たしか今日だったっけか。
文化祭実行委員の集まりって。
あいつはもう帰っただろうか。
「相松くーん!」
生徒玄関に向かう途中。
後方からパタパタと足音が反響した。
「ん?あ、斎藤さんじゃん」
先に振り返った彩希の言葉にドキリとした。
斎藤がいるってことは……もしかして、あいつも?
おそるおそるうしろを向く。
「相松くん、ちょっといい?」
「……あ、ああ……うん。なにか用?」
……ちがった。
いなかった。
斎藤だけだった。