もうそばにいるのはやめました。


円がわたしの体に片腕を回して支えてくれたんだ。


腕が離れて、自力で踏ん張ってみるが、再びめまいが起こる。


そしたら今度は

体が浮いた。


……え?浮いた?



「こいつ体調悪いみたいなんで、保健室つれて行きます」



「きゃー!」やら「わー!」やらクラスメイトが騒ぐ。


えっ、えっ。

待って。これって。


お、お姫さま抱っこというやつでは……!?




「ちょっ、円!下ろして!」


「体調不良のやつは黙ってろ」


「体調悪くないもん……!」


「ふらついてたやつがなに言ってんだ」




どれだけ平気だとうったえても、円は保健室へ向かう足を止めてはくれない。


そばにいるのをやめたのに。

もう頼りたくないのに。


どうしてこんなことするの。



ひどいよ。


また好きになっちゃったじゃんか。




保健室に到着すると、ベットまで運んでくれた。


もうひとつのベットで横になってる生徒に熱があるようで、先生はそっちにかかりっきりになっていた。



「こっちの子が落ち着くまで、よければその子についていてあげて?」



先生はそう言うと、辛そうにせきをする生徒のほうへついてあげた。

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