もうそばにいるのはやめました。
初めて食べた。
チョコバナナっていうんだ。
普通はこのサイズじゃないのかな?
あとで時間があったらまた食べようっと!
「あ、チョコついてるよ」
「えっ!?どこどこ!?」
「こーこ」
口の端っこについたチョコを、ナツくんが指で拭ってくれた。
こういうところ……やっぱりお兄ちゃんだなぁ。
昔から変わらない。
わたしとナツくんとナツくんの弟で遊びまわってたのがなつかしい。
「ここはもういいよ。次の担当の委員がもうじき来るだろうし」
「でもまだパンフレットが……」
「あまったパンフレットはクラスに戻るときついでに校内で配って。生徒の中にもパンフレットが欲しい人いると思うから」
「わかりました!」
「クラスの仕事も頑張ってね」
ガッツポーズをするナツくんに、同じポーズを返す。
パンフレット片手に校内へ駆けていった。
「あっ!」
わたしのいなくなった校門前。
校舎に入って見えなくなったわたしの背中から、ナツくんの視線がはずれる。
声のした方向にずらせば、紺のキャップをかぶる男の子を対面する。
ナツくんは意地の悪い笑みを浮かべた。
「兄ちゃん!」
「あー、ひと足遅かったな。さっきまでここにお嬢さまがいたのに」
「えええ!?」