もうそばにいるのはやめました。


なんとか教室に着いた。


メイド執事喫茶は大はんじょう。


列ができてる。



「あっ、寧音ちゃん!今人手が足りてないの。着替えたらすぐ来てくれる?」


「わ、わかった!すぐ行く!」



教室から顔を出した穂乃花ちゃんに急かされるがまま、教室の近くにある更衣室へ駆け込んだ。



誘惑に負けてる場合じゃなかった……!


急がなくちゃ!



ブレザーの制服を脱ぎ、昨夜やっとの思いで完成させたメイド服に着替える。



ひざ上のミニスカート。

胸元にリボン。


わたしが唯一持ってるワンピースよりフリルが多い。


不思議の国のアリスのようなメイド服。



わたしの家に仕えてくれていたメイドよりちょっと……いや、だいぶかわいい服になった。



「かわいすぎないかな……?」



自分で作ったとはいえ、ちょっと不安。



今日こそはと奮闘したヘアセットは、相も変わらずクセがついていてくるくるしてたり、ぴょんとはねてたり。


直す時間ないし、カチューシャをつけてごまかしちゃえ!



「……もっとメルヘンチックになった……」



け、けど、しょうがない!

行くしかない!!


意を決して更衣室を飛び出した。


< 64 / 191 >

この作品をシェア

pagetop