もうそばにいるのはやめました。
なんとか教室に着いた。
メイド執事喫茶は大はんじょう。
列ができてる。
「あっ、寧音ちゃん!今人手が足りてないの。着替えたらすぐ来てくれる?」
「わ、わかった!すぐ行く!」
教室から顔を出した穂乃花ちゃんに急かされるがまま、教室の近くにある更衣室へ駆け込んだ。
誘惑に負けてる場合じゃなかった……!
急がなくちゃ!
ブレザーの制服を脱ぎ、昨夜やっとの思いで完成させたメイド服に着替える。
ひざ上のミニスカート。
胸元にリボン。
わたしが唯一持ってるワンピースよりフリルが多い。
不思議の国のアリスのようなメイド服。
わたしの家に仕えてくれていたメイドよりちょっと……いや、だいぶかわいい服になった。
「かわいすぎないかな……?」
自分で作ったとはいえ、ちょっと不安。
今日こそはと奮闘したヘアセットは、相も変わらずクセがついていてくるくるしてたり、ぴょんとはねてたり。
直す時間ないし、カチューシャをつけてごまかしちゃえ!
「……もっとメルヘンチックになった……」
け、けど、しょうがない!
行くしかない!!
意を決して更衣室を飛び出した。