もうそばにいるのはやめました。
教室に戻り、接客係と合流する。
あの行列を見て覚悟はしていたけれど……ファンシーなテーブルクロスをかけた席はひとつも空いてない。
教室内はお客さまで埋まっていて、クラスメイトは予想を超えた仕事量にあわただしくしてる。
席を追加したり、使い果たした材料をほじゅうしたりしたようだ。
「穂乃花ちゃん、お待たせ!」
「寧音ちゃ……!!」
穂乃花ちゃんはこちらを向くと、なぜか一時停止した。
わあっ……!
穂乃花ちゃんすっごくかわいい!
ロング丈のメイド服だ。
クラシカルで大人っぽい。
ロングストレートの髪型とも合ってる。
それに比べてわたしは……うん、馬子にも衣装。
「穂乃花ちゃんかわいいね。メイド服似合ってる!」
「…………」
「……ほ、穂乃花ちゃん?」
き、聞こえてる?
おーい!
とメガネの前で手を振る。
「ね、寧音ちゃん!!」
「はっ、はひ……?」
いきなり振っていた手をぎゅっと握られた。
「すっっっごくかわいい!!」
「……へ?」
「普段もかわいいけど、メイド服姿もかわいい!写真撮りたいくらい!ていうかあとでたくさん撮ろうね!?」
「う、うん……」
「ふふっ、照れてる顔もかわいいよ」
「……あ、ありがと……っ」
何回も「かわいい」ってほめられた。
しかも美人な穂乃花ちゃんに!
照れちゃうな。