もうそばにいるのはやめました。
急降下した女の子たちのテンションが、再度急上昇する。
「ほんとですか!?」
「やったー!」
「会えるかもね!」
「わあっ、楽しみ!」
お客さまの気分がよくなったようでよかった。
せっかくメイド執事喫茶に足を運んでくれたんだもん。
がっかりされるよりよろこんでもらったほうがうれしい。
同じような会話が教室内でも飛び交っていた。
「すいませーん!円くんっていますか?」
「武田くんっていないんですか~?」
「会いたかったのに……」
「運悪かったね」
女の子たちが悲しそうにショートケーキを食べてる。
円も武田くんもかっこいいとは思っていたけど、まさかここまでモテモテだとは。
認知していなかっただけで、実はライバル多かったんだ……。
「さーいとーちゃーん!」
「穂乃花ちゃん!注文頼みたいんだけど来てくれない?」
穂乃花ちゃんも2人に負けてない。
さっきから男の子のお客さまに呼ばれ続けてる。
……そうか。なぞがとけた。
メイド執事喫茶に行列ができてるのは、美男美女がもてなしてくれるからなんだ。
女の子は円と武田くん、男の子は穂乃花ちゃんを目当てに来店してる。
お客さま全員ではないが、ほとんどがそう。