もうそばにいるのはやめました。



それから無事に受験でき、合格。


3月末に少ない荷物を持って、相松さんにマンション前まで送ってもらった。



『秋になるころには戻ってくるから。父さん頑張るから。……1人で心細いだろうが、寧音も勉強頑張るんだぞ』


『寧音ちゃん……本当に1人で大丈夫?お母さん心配だわ……』


『お父さんもお母さんも泣かないで?わたしは大丈夫。相松さんの息子さんもいるんだし、1人で頑張るから!』



それでも泣き続ける両親にもらい泣きしてしまった。


ぎりぎりまでぎゅうっと家族3人で抱き合った。




相松さんの車で空港に向かう家族を見送ったあと。


マンションの6階へエレベーターで上がっていく。



6階、一番奥の部屋。


一応インターホンを押してからもらった鍵でガチャリ、扉を開ければ。



『あ、あの……お、おじゃまします……』


『あんたか。今日からウチに住む、竜宝(リュウホウ) 寧音ってやつは』



背の高い男の子が待ちかまえていた。


この男の子が……話に聞いた円くん?



か、かっこいい……!



中性的ながらも凛々しい顔立ち。

傷み知らずのサラサラな黒髪。

180センチくらいありそうな高身長。



まさにダンディーな黒髪秘書・相松さんをあどけなくした感じ。



ものすごくかっこいい!

……けど


なんだか冷たそう。



不愛想だし、黒い目が吊り上がってるし。

何より感じ悪いし。


快く出迎えてくれたわけじゃないみたい。



『は、はい!これからお世話になります……!』


『チッ』



し、舌打ち!?

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