もうそばにいるのはやめました。



「い、痛いよ、ハルくん」


「……ずっと捜してたんすよ」


「…………ごめんね」


「もう会えないと思ってました……っ」




鼻をすする音がした。


泣いてるの?

泣かないで。


背中をさすってあげる。


わたし、ハルくんの笑顔が見たいよ。



「どうしてわたしがこの学校にいるってわかったの?」


「僕の情報網あなどらないでください!」



視線を上げると、ハルくんはムッとしていた。


情報網……あっ、ナツくんか!



……ナツくんといえば。



「そういえばナツくんから、ハルくんが大丈夫じゃないって聞いたけど……今はもう大丈夫なの?」



ナツくんには『心配しないでいいよ』となだめられた。


でも心配もするよ。

ハルくんはわたしにとって大事な人だもん。



「今大丈夫になりました!」



今!?


ここに来るまでは大丈夫じゃなかったの!?

なのに文化祭に来たの!?



「もうっ!バカ!」


「え!?なんでいきなり悪口言うんすか!」


「大丈夫じゃないのに外出るからだよ!体調悪いときはゆっくり寝ないとダメなんだよ!」



睡眠って大切。

わたしも最近それを痛感した。


またふらつくのはごめんだ。

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