もうそばにいるのはやめました。



『社長、わたしを信じてついてきてくださいませんか』


秘書の相松さんがきっかけをくれなければ



『あ、あの……お、おじゃまします……』

『あんたか。今日からウチに住む、竜宝寧音ってやつは』


円と出会わなければ



――わたしは今でも頑張り方を見つけられずにいたかもしれない。





「……頑張りすぎてないっすか?」



ハルくんの問いかけがグサリと刺さる。



「が、頑張らないより頑張りすぎなほうがよくない?だめ?」


「だめっす」



だ、だめかぁ……。


一回めまいで倒れかけたアレは、頑張りすぎに含まれる?


視線をさまよわせたら、ハルくんの目がキッとするどくなる。

ず、図星じゃないからね!?



「今日は休けいないんすか?」


「あるある!」



さすがに働きっぱなしじゃないよ!

また倒れるわけにはいかないし。



「穂乃花ちゃんが戻ってきたら、穂乃花ちゃんと交代で休けいだよ」



時間は……もうそろそろかな。


宣伝につれられて来てくれた女の子たちの列を少しさばいたら、ちょっと休ませてもらおう。



「ホノカちゃん……?友だちっすか?」


「うん!同じ文化祭実行委員なの」


「そっすか。友だち……できてよかったっすね」



やわらいだ表情が、ほのかに陰る。

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