もうそばにいるのはやめました。



「じ、じゃあ!」


「なに?」


「休けい時間は僕と一緒にいてください!」



その陰を無理やり忍ばせ、真剣な面持ちになった。


心配しないでもいいよ。

友だちができても、ハルくんとも仲良しだよ。


遠く感じたりしないで。



「そうだね、一緒に文化祭まわろっか」


「! はいっす!!」



相変わらず犬みたい。


ハルくんにしっぽがついてたら、ふわふわ揺れてるんだろうな。



笑い合うわたしとハルくんを横目に、円は黙々と注文品を届けていく。



「……はぁ〜、しょうがねぇな」



武田くんはこっそりため息をついて


――ドンッ!

唐突に円の背中を押した。



「!?」


「えっ!?ま、円!?」



バランスを崩した円が、わたしとハルくんの間に突っ込んでくる。



「円も休けいだろ?どうせなら竜宝さんたちとまわれば〜?」



したり顔の武田くんに、円はようしゃなくガンを飛ばす。




「……こいつ、なんすか」


「ちょっ、ハルくん!言い方!」


「……お、れは、」


「竜宝さんの世話係だよ〜」


「おい彩希!!」


「世話係ぃ……!?」




武田くん、絶対楽しんでるでしょ!?



軽々しく投げられた火の粉が、円とハルくんの空気を張り詰めさせる。


そこに巻き込まれたわたしは完全に被害者……だよね?

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