もうそばにいるのはやめました。
――あれから約5ヵ月。
「……いろんなことがあったなぁ」
「なんだよ急に」
「なんかいろいろ思い出しちゃって」
季節は春から夏へ。
入学当初は公立の学校に慣れるか不安だった。
だけど円も同じクラスで心強くて。
クラスメイトの皆も優しくて。
すぐに打ち解けられた。
気づけばあっという間に夏休み。
長かった休みも、今日で終わる。
「円には大変お世話になりました」
「本当にな。家でも学校でも迷惑ばっかかけやがって」
「うっ……ご、ごめんなさい」
「もう慣れたけど」
相変わらずつんけんした言い方。
あいきょうのない硬い表情。
でもいつもなんだかんだ文句を言いながら、こうやって助けてくれるよね。
最初は冷たい円が苦手だったっけ。
『わあっ、おいしそうなご飯!』
『これは俺のだ。食いたきゃ自分で作れ』
なんでも独りでやろうとして。
『えー、一緒に食べようよ!』
『あんたと仲良くする気ねぇから。どっか行け』
いつも不機嫌で、怖くて。
『待ってよ、円くん!』
『……気安く呼んでんじゃねぇよ』
ちょっとしたことで怒って。
人にここまで嫌われたことなかった。
わたしがお嬢さまだったからかもしれないけど、こんなあからさまな嫌悪にどう向き合ったらいいのかわからなかった。