もうそばにいるのはやめました。
と、とりあえず皆落ち着いて!
ご飯食べようよ!
机の上に広げられた穂乃花ちゃんお手製のお弁当を早く食べたい。
たまご焼き、から揚げ、そぼろご飯……。
じゅるり。おいしそう。
「竜宝さーん」
「……はい?」
クラスメイトに呼ばれ、よだれを拭く。
クラスの男の子が扉の奥を示していた。
「呼ばれてるよ」
そちらに駆け寄ると、教室前で1人の男の子が待っていた。
だ、誰だろう……。
初めてお会いする人だ。
青チェックのネクタイ。
2年生……先輩だ。
「竜宝寧音さん、だよな?」
「は、はい。そうですが……」
「ちょっといい?」
戸惑いを隠しながらうなずく。
先輩に誘われるがまま廊下を歩いていく。
「本当にモテモテだな、竜宝さん。行かせていいの~?」
「「…………」」
「いたっ!いてぇよ!2人して俺に八つ当たりしないでくれる!?」
わたしの去った教室では
円と穂乃花ちゃんが無言で武田くんをたたいていた。
先輩に着いていくと、中庭で止まった。
ここが目的地らしい。
「あ、あの……」
「俺さ」
急に話し出され、身がまえてしまう。