もうそばにいるのはやめました。
このそわそわした雰囲気、赤らんだ顔。
もしかしてもしかする……?
「エンディングのステージできみのこと見て……ひと目惚れしたんだ」
も、もしかしたー!!
「よければ俺と付き合ってくれない?」
告白されてしまった。
今週に入ってもう5回目だ。
5人中5人全員が同じ理由。
エンディング効果だ。
文化祭マジックって実在するんだね……。
マジックに一番かかってほしい人にはかからない。
「ごめんなさい。気持ちはうれしいんですけど、お付き合いできません」
「彼氏いるの?」
「いません、けど……」
「……好きな人はいるんだ」
「…………」
「そっか。ちゃんと振ってくれてありがとう」
先輩、いい人だなぁ。
笑ってありがとう、なんて。
わたしにはできなかった。
涙をこらえるのでせいいっぱいで。
好きな人のことを少しも思いやれなかった。
『……好きな人はいるんだ』
もういないって言わなきゃだったのに。
今日もまた引きずってる。
好きじゃない。
そうウソをつくこともできない。
告白されて振る立場になるたびに、心臓をえぐられるんだ。