彩りのある場所で、恋を
開かれているページに載っているのは、黄檗色という明るい黄色の色だ。ミカン科のキハダの黄色い樹皮の煎汁で染めたものらしい。

「それより、どうしましたか?」

微笑む玉井先生に、俺は「学校に無事に受かりました」と笑顔で報告した。玉井先生の顔が満面の笑顔になっていく。

「本当ですか!?おめでとう!!」

自分のことのように先生は喜んでくれて、それがとても嬉しいんだ。玉井先生の笑顔を見たくて必死に頑張った。

「玉井先生、面接練習に付き合ってくれてありがとうございました」

俺はペコリと頭を下げる。玉井先生は「よかった」と繰り返していた。

それから、俺は美術室から出ることなくそのまま玉井先生と話す。冬の青空はどの季節よりも綺麗で、先生と窓の外を見つめた。

「この空の色はなんて言うんでしょう?」

玉井先生の問いに、俺は伝統色のページをめくる。

「そら色かな?それともみ空色かな?」

そんなことを話しながら、二人で笑う。二人きりのこの時間が幸せで、切なくて、泣きたいのか笑いたいのかわからなくなる。
< 7 / 12 >

この作品をシェア

pagetop