ポップコーンみたいな恋
「好き…、祥平が好き。これからは彼女として側に居させて欲しいの…」

産まれて初めての告白。手を繋いでいたのも見間違えではないと思う。返される答えが予想出来ない訳ではない。けれども、言わなきゃいけない。

「柚葉…」

祥平は机の椅子から立ち上がり、涙を流しながら訴える私に近寄る。昔みたいに指で涙を拭ってはくれなかった。昔は私が泣く度に指で涙を拭って、慰めてくれたよね。

祥平が辛い時も私が側に居て話を聞いてあげたり、嬉しい時だってお互いに報告し合ってたよね。

「……ごめん、好きな子が出来たんだ」

祥平が発した言葉の重みで、胸が押しつぶされて息が出来なくなりそう。そんな言葉は聞きたくなかった。

幼なじみの祥平に恋しているって認めたのに君の気持ちはココには無かったんだね────……

「うん、今日…女の子と居たのを見たから知ってたよ。でも…真っ先に報告して欲しかったよ、昔みたいに…」

ボロボロと床にまで零れ落ちる涙は、行き場のない気持ちも一緒に流れて行く。

今までみたいに祥平の隣には居られない。

幼なじみという関係が壊れる時、16年の月日など関係なく、その瞬間は一瞬で粉々に崩れ去る。
< 6 / 15 >

この作品をシェア

pagetop