この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
だって、かわいすぎて〜晴臣side〜
「ありがとうございました」
挽きたてのコーヒー豆の香りが漂う木目調のおしゃれな店内。程よく空調が効いて寒いくらいなのに、動き回っていると汗が流れた。
夏休みに入り、バイトに明け暮れること一週間。最初は慣れなかったけど、今ではひと通りの接客をこなせるようになった。
モカやラテやオレってなにがちがうんだ?
カプチーノって?
エスプレッソ、アメリカンって味一緒なんじゃねーの?
豆を挽くという言葉の意味がわからない。
最初は戸惑ってばかりでなかなかちがいがわからなかったけど、メニューも完璧に暗記した。基本的に一度聞いたことは忘れないタイプ。記憶力のよさは、父親譲りだ。
歩の言うように、やればできるタイプなんだよな。今までは面倒だから勉強にも手を抜いてきたけど、夏休み前最後のテストは気合いを入れた。
すると今まで学年で最下位に近かったのに、上位百位以内に入った。担任に呼び出されてなぜかと聞かれたけど、いやいや、勉強したからだし。やればできるタイプなんでと話すと、最初からそうしろと怒られた。
授業は面倒だから聞いたり聞かなかったり。
基本マイペースの自由人。そんな俺がバイトを始めたのには理由がある。