この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

『大丈夫か?』

日向くんは体を屈めて私の顔を覗きこんだ。そこにさっきまでの冷たさはない。眉を下げてまるで私を心配してくれているかのような顔だった。

『あ、ありがとう、ございました……』

『じゃ、気をつけて帰れよ』

『あ、はい!』

出会いは突然で時間にすると五分にも満たなかったけれど、私はそれからなんとなく日向くんのことを忘れられなかった。

だから高校生になって通学バスの中で見かけたときは、すごくドキドキしてしまった。会えてとても嬉しかった。

どうしてこんな気持ちになるのかわからなかったけど、なんとなく日向くんを意識してた。

きっと覚えていないだろうけどそれでもよかった。再会できた喜びのほうが大きかったから。

それからというものバスに乗るときはいつもそわそわしてしまう。日向くんが【北央のプリンス】と呼ばれていることを知ったのも入学してすぐの頃、バスの中で噂されていたからだ。

まぁ、あれだけカッコいいし目立つからモテるのもわかる。一度だけバスの中で女子に声をかけられていたけれど、日向くんはとてもそっけなく返事をしていた。

人を寄せつけないオーラを放っているけど、バスの中でお年寄りがいたら席を譲るし、この前だって具合いが悪いのに妊婦さんに席を譲ったり。

とにかく優しい人なんだよね……。

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