この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

夏の思い出


晴くんとキスをすると、温かくて優しい気持ちになれる。晴くんの照れた顔が好き。ガシガシ髪を乱しながら、仕方ないなって笑う顔がたまらなく好き。

「ただいま」

「おかえり、ひまちゃん」

晴くんと会っていた時間は三十分にも満たない。そんなに遅くない時間なのに、母親はこうして毎日のように玄関で私を待ち構えている。

後ろめたさを感じる必死なんかないはずなのに、こうして待たれたら悪いことをしている気分になる。

「夏休みに入ってから夜出て行くけど、なにしてるの?」

探るように顔を覗き込む母親。晴くんとの幸せな時間が黒いモヤモヤに覆い尽くされていくような感覚がした。

関係ないでしょ、ほっといてよ。

「勉強でいろいろわからないところがあって、友達に聞いてるの」

いつからか、ごまかすのがうまくなった。笑顔を貼りつけていい子のフリをする。

「それは本当なの? ひまちゃんが毎晩派手な男の子と会ってるって隣の人が言ってたけど」

怪訝な表情の母親にうんざりした気持ちになる。

「見まちがいじゃない?」

「そう……? それならいいんだけど、私はひまちゃんを信じるからね」

信じるって、なに?

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