この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

晴くんは一瞬だけキョトンとした。

でもすぐに笑顔を作って「いいよ」と囁いた。

この日常を壊したくない。できるなら、ずっとそばにいたかった。

「いいよ、送ってくれなくて。今日はもう遅いから、早く帰って?」

私が立ち上がると晴くんも立った。そしてスクールバッグから定期を取り出す。

「もう少し一緒にいたい」

伏し目がちにつぶやく姿に胸がキュンと締めつけられる。

「俺がいつもひまと一緒に降りるのはさ」

わずかに顔を上げたあと、真剣な目で見るのはずるいよ……。

「もちろん帰り道が心配ってのもあるけど、俺がおまえともう少し一緒にいたいから……つったら、引く?」

ほんのり赤くなった晴くんの顔。気まずいのかパッと目をそらされた。

「引かないよ……」

引くわけないじゃん。うれしいに決まってる。でもそのぶん、胸が苦しくて息ができなくなる。

「じゃあいいだろ」

「え、あ……」

私の負けだ。だって本当は私も晴くんといたいんだもん。だからそう言われてうれしかった。

もっともっともっと……一日が長ければいいのに。

見上げた空は薄暗くて、ところどころにオレンジ色と紺色がまざっていた。

哀愁が漂っていて、なんだかすごく泣きたくなった。


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