この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
戸惑う距離感
「ひまり、ひまりってば!」
「え? あ、苑ちゃん」
「お弁当食べないの?」
「た、食べる!」
昼休みの教室はすごく騒がしい。私と苑ちゃんは向かい合うようにしてお弁当を広げていた。
食べかけの手が止まっていたことにハッとして慌てて手を動かす。
「コスプレカフェってやだなぁ。私、コスプレなんて似合わないのに。ひまりはアイドルだよね。絶対にかわいいだろうなぁ」
「うん」
「いや、うんって。聞いてる?」
「うん……って、なにが?」
ヤバい、ボーッとして適当に返事をしちゃってた。
「最近のひまり、なんだか変じゃない?」
「ごほっ!」
鋭い目で苑ちゃんは核心をついてきた。当たらずとも遠からずで、苑ちゃんの観察眼はあながちまちがってはいない。
でも、だけどなにがどうなのって聞かれてもうまく答えられない。自分でもよくわからないんだ、どうしてこんなにボーッとしてしまうのか。
「なにかあったの?」
「な、ないない! なにもない!」
「そうは見えないけど。ね、福島もそう思うよね?」
ちょうど私たちのそばで男子数人と話していたクラス委員長の福島渡くん。彼は頭がよくて真面目な爽やか系の黒髪男子。
「え、俺?」
「うん。最近のひまりは変だよね?」
「へ、変じゃない変じゃない! もう、福島くんにそんなこと言うのやめて〜!」
福島くんは中学からの友達で二年生と三年生のときに同じクラスだった。
友達といっても学校内で会話するだけでプライベートで遊んだりしたことはないけど、お互いの連絡先は知っている。
テストの範囲とか授業でわからないところがあれば私から聞いたり、福島くんからわざわざ聞いてきてくれたり。とにかくみんなに優しくて頼りにされてる人気者。