この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
「他に好きな人ができたの……だから、晴くんとは終わりにしたい」
「は……?」
「ごめん、なさい……」
もう無理、我慢できないよ。身体を起こして立ち上がり、場を離れようとする。未だ放心状態の晴くんは、無意識に私の腕をつかんだ。
「好きだ……ひま」
「……っ」
振り返らされ、ギュッと抱きしめられる。背中に腕が回されて晴くんの胸に顔を埋めた。ほしかった温もりに、涙が一粒流れ落ちる。
熱くて、切ない。そんな涙。
「ごめん……無理、だよ」
「……っ」
「離して……」
きみを傷つけることでしか離れられない私を、許さなくていい。だからどうか、早く忘れて。とことん嫌って。それが私の願いです。
「晴くん、お願い、離して……」
胸を両手で押すと晴くんの身体は簡単に後ろに弾かれた。うつむいてるので、顔は見えない。
「バイバイ」
ごめんね……。
もう二度と会うこともない。
だからしっかり晴くんの姿を目に焼きつけておく。
さよなら、大好きな人。
「待てよ……せめて、これ……受け取って」
追いかけてきた晴くんはジャケットのポケットから細長い箱を私に差し出した。
「誕生日、プレゼント……こんなことに、なるなんて思ってなかったから用意してた」
「いらない……」
「だったら、捨ててくれていいから」
「いらないってば!」
差し出された箱を思いっきり突っぱねて手を払った。箱は手から離れて遠くへ飛んでいく。
「あ……」
どう、しよう……最低だ、私。完全に嫌われた。いや、それでいいんだ、それで。でも、苦しいよ。
傷ついたような晴くんの顔を見ていたくなくて、私はとっさに駆け出した。