この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

なんで泣いてるの、私。やけに悲しくて、苦しくて、涙が止まらない。

次の日から母親がこなくなった。その代わり、数日に一度だったお父さんが夜に面会にきてくれるようになった。

どうせ母親から私とのことを聞いているだろう。なにも言われはしなかったけど、なにか物言いたげに私を見ていた。

「もうこなくていいよ。私のことは放っておいて」

「そんなことができるわけないだろ。希望を捨てず、一緒にがんばろう。ひまりは絶対に助かるんだからな!」

まるでそう言い聞かせているようだった。お父さんの肩が小さく震えている。

「そういえば、血液検査の結果が出たんでしょ? 先生、なんて?」

そうたずねるとお父さんの表情がこわばったのがわかった。おそらく、よくない結果だったんだ。そうと知って絶望的な気持ちになる。

「大丈夫だ、よかったよ」

無理やり口角を持ち上げたお父さんの引きつった顔。それ以上追求することをやめて、真っ暗になった窓の外に目を向ける。

まん丸くぷっくり膨らんだ満月が、冬の夜空に浮かんでいた。

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