この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
第一章〜きみと出逢った〜

北央のプリンス


まだ新緑が新しい五月の初旬。

『次は椿(つばき)(おか)北口、椿が丘北口に停車します。お降りのお客様は……』

通学バスの車内にアナウンスの声が響いた。今日はいつもよりもだいぶ帰りが遅くなってしまったので、バスの中は混雑している。

私は今年高校一年生になったばかりの桃咲(ももさき)ひまり、十五歳だ。憧れの明倫(めいりん)高校に入学して一カ月と少し。

新しい生活にも慣れて、高校生活も楽しくなってきた。

かろうじてバスの座席に座れたはいいものの、さっきから近くに立つ男子高生の姿に緊張しっぱなしで落ち着かない。

それというのもすぐそばの吊革を掴んで立つ学ラン姿の男の子に、意識を奪われているせい。

背が高くて茶髪の彼はピアスをしていて、少し、ううん、かなり不良っぽい見た目の男の子。

狼みたいに目つきが鋭くて誰をも寄せつけない空気を放っているけど私は知ってる、本当は優しい人だということを。

カッコよくて目立っているし、立っているだけで人の目を惹きつけるオーラがある。

北央(ほくおう)のプリンス』

そんな異名を持つ北央高校の一年生、日向(ひゅうが)晴臣(はるおみ)くん。

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