この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

それからというもの私たちはバスで会うと挨拶を交わす仲になった。

バスに乗るとまず日向くんの姿を探して、姿が見えなかったらあからさまに落ち込んでしまう。

帰りもたまにバスの時間がちがったりすることもあって、行き帰りまったく顔が見られない日もあった。

そんなときは夜寝る前に四つ葉のクローバーにお願いするんだ。

明日は会えますように……。

そう願って眠りにつくと、不思議なことに日向くんがバスに乗ってる。きっと、この四つ葉のクローバーが奇跡を起こしてくれたんだ。高校生にもなって信じてるなんて自分でもバカげてると思うけど。

ブレザーのポケットから栞を出して眺める。

この栞は私が幼稚園のときにお母さんと公園で見つけた四つ葉のクローバーを栞にしたもの。

ところどころ擦れて古くなっているけれど、肌身離さず大事に大事に持ち歩いている私の宝物だ。

五歳のときに亡くなったお母さんとの唯一の思い出の四つ葉のクローバー。こみ上げてくるのは罪悪感と、お母さんとの思い出。

これを見るとお母さんを思い出して切なくなる。

「よう」

放課後の帰り道、バスの中にはオレンジ色の陽が差している。日向くんの髪の毛がキラキラ輝いていてとてもきれい。

「お、疲れさま」

まだ普通に話すのは慣れないけれど、日向くんの隣にいるのはずいぶん慣れた、ような気がする。

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