この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

「あ、あれ……?」

誰も、いない。窓の外は真っ暗ですでにカーテンが引かれている。いつの間にか抗がん剤の点滴も終わっていたようで、腕から針が抜かれていた。

壁掛け時計を見るともうすぐ夕食の時間になろうとしている。

「声かけてって、言ったのに……」

帰っちゃうなんてひどい。ふとテーブルの上を見るとメモが置かれていた。

『気持ちよさそうに寝てるからこのまま帰る。
起きたら怒るだろうな。でもごめん、かわいい顔して寝てるひまを起こせなかった。また明日!』

晴くん……。

「あはは、字がへたくそ……」

でも、うれしい。

私は日記帳を出した。そして忘れないように今日の出来事を書きつづる。再発してるとわかってからは、ショックで書けない期間もあったけれど。

覚えておきたい。晴くんの優しさ、愛情、温かさ、感覚、そのすべてを。

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