この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
「それって四つ葉?」
私の手元の四つ葉のクローバーの栞を見て日向くんが眉を寄せた。
「うん……! かわいいでしょ?」
「俺にはただの葉っぱにしか見えない」
「葉っぱって……! 四つ葉のクローバーってね、どんなお願いも叶えてくれるんだよ! 奇跡の葉っぱなの!」
「はは、そこ力説されても。ただの葉っぱだろ?」
「夢がないな、日向くんは」
日向くんは悪びれもなく笑っていた。私の前でよく笑顔を見せてくれるようになったのは、仲良くなってる証拠なのかな。
だとしたら、うれしい。
日向くんのこと、もっと色々知りたいよ。
「なんか願ったんだ?」
そう言われてギクッとする。
『日向くんに会えますように』
そんなお願いをしたと知られたら、もう二度とこんなふうに笑いかけてくれないよね。引かれるに決まってる。変質者扱いだよ。
「ヒミツ!」
「顔、赤いけど?」
「えっ!?」
「なんか変なこと願ったんじゃねーの?」
「そ、そんなことないよ」
「好きなヤツと両想いになれますように、とか?」
ドキン。
やだ、なんで意識しちゃうの。
日向くんの顔、まともに見られないよ。
「そんなんじゃないから……ただ私は四つ葉のクローバーが好きなの。それだけ」
必死に平然なふりをしてそう言えば日向くんは「ふーん」と興味がなさそうに窓の外に目を向ける。
そうだよね。
私なんて日向くんの友達でもなんでもないし、ただバスの中で会うだけの人物っていう感じなんだと思う。
高校も別だし住んでる地域もちがう。私たちを繋ぐのは唯一このバスだけ。私が知ってる顔なんて、ほんの一部。
もっと色んな日向くんの顔を見たいと思うのはどうしてかな。