この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
どう言っていいかわからず、昼過ぎに病室を出た。
するといつからいたのか、海堂が目を腫らした不細工な面で立っていた。
「ひまりは……どうなるの?」
きっと誰もが察しているが、頭で思っているのと、実際聞かされるのではまるでちがう。特に海堂は病状をなにも聞かされていないんだ。
「このまま治らないの?」
「とにかくそばにいてやってくれ」
「はぐらかさないで」
強気な海堂に面食らう。
「もう……長くないらしい」
「……っ」
海堂はよたよたと壁にぶつかってそのまま床に崩れ落ちた。涙で顔が濡れている。必死に声を押し殺して、人の目も気にせず泣いていた。どうにかしてやる気力もない。
心がごっそりえぐり取られるような胸の痛みを堪えるのに精いっぱいだった。
それからどんな毎日を過ごしたのかは記憶にない。
『さよならしよう』
ひまの望みどおりにしてやるのが、今の俺にできる唯一のこと。我慢ができなくて、何度も何度も何度も、病室の前まで足を運んだ。顔が見れなくても近くにいられるだけでいい。
「晴くん……毎日、ありがとう」
「どうも」
「あの子……私たちにも弱音は一切吐かなかった。目が虚ろでね、もうほとんど意識もない……二、三日がヤマだろうって……」
「え……」
ズドンと重く鋭い衝撃が走った。
「あの子、本当に安らかな顔をしてるの。それも全部あなたのおかげ。だから、お願い……会ってあげて?」
もう最期だから、と続きそうな声はか細く震えていた。