この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

ひまはもうどこにもいないのに、世の中は絶えず同じように回っている。ひまがいると世界は暖かったのに、ひまを失った世界は冷たく色褪せて見えた。

「俺だってツラいんだよ……でも、おまえがそんなんじゃひまりちゃんだって」

ガタッ。

「ほっとけよ。もう俺に構うな」

「おい、晴……!」

教室を飛び出して宛もなく走る。息がきれて胸が苦しい。足を止めたらとてつもない恐怖にのみ込まれそうな気がして、ひたすら走った。

「はぁはぁ……っ」

学校を抜けて駅の近くの歩道橋を駆け上がる。そこでとうとう体力がつき、身体を折り曲げうなだれた。橋下には交通量の多い二車線の道路がある。

「はぁはぁ……くっそ」

苦しい……。

こんなに全力疾走したのは久しぶりだ。四月下旬のポカポカした春のひだまりのような日。ひまと出会ったのも今日みたいな日だった。時折吹く心地いい風が髪を揺らす。快晴の空は、いつかふたりで見た空に似ていた。

トラックが下をとおり、歩道橋が大きく揺れた。次にトラックがきた瞬間ここから飛び降りたら、ひまの元へいけるかもしれない。

会いたい……もう一度。

そのためなら、命だって捨てられる。

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