この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
今の俺にこれ以上失うものはなにもない。
一台の大型トラックが遠くのほうに見えたとき、俺は無意識に歩道橋の手すりに足をかけていた。
猛スピードで近づいてくるトラック目がけて、身を乗り出す。
「晴、くん?」
そのとき背後から名前を呼ぶ声がした。
振り返るとそこにはひまの母親がいて、驚いた顔で俺を見ている。
「危ないから、おりて……ね?」
優しく諭すような口調だった。悲しげに垂れ下がった眉、涙で潤んだ瞳。おばさんの悲しみもまだ、癒えてはいないのだろう。
「ほら、手をかして。ね?」
そう言われてしまい、力なく地面へと着地する。
「今からうちにこない?」
「…………」
「ひまちゃんも会いたがってると思うの。それに晴くんに渡したい物もあるし」
「行けま、せん……」
だって行くとひまの死を受け入れないといけなくなる。どうやったって、そんなことは認められない。だから葬儀に行くのもためらわれ、ひとり部屋で震えてた。
「ひまちゃんもあなたにきてほしいと思ってるはずよ」
「そんな……俺は……」
あいつになにもしてやれなかった。
弱い人間だ。