この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
名前と学年はバスの中でリサーチ済みだ。といっても、女の子たちが噂してるのを聞いただけだけど。
「はぁ」
ため息が聞こえてちらりと斜め上を見上げると、吊革にうなだれるようにして日向くんは立っていた。
心なしか顔が赤いような気がするし、目を閉じて眉間にシワを寄せている。
なんだか、様子がおかしい……。
大丈夫かな?
声をかけてみる?
でも、相手はあの日向くんだし勇気が出ない。
迷っているとなかなか声をかけることができず、バスはどんどん進んでいく。
次の停留所に着いたとき、私は意を決した。
「あ、あの……!」
人がたくさんいるバスの中で緊張して手が震える。
私の声に気づいたらしい日向くんが薄目を開けた。
大きくてパッチリした二重まぶたにキリッとした表情。スッと鼻筋が通った鼻に、血色のいいピンク色の唇。
学ランとシャツの一番上のボタンだけ開けて、ズボンを腰ではいている。足元には有名ブランドのスニーカー装備の日向くん。
彼は怪訝な眼差しで私を見下ろした。
目が合うとドキッと鼓動が跳ねて、さらに落ち着かなくなる。
「だ、大丈夫……?」
「…………」
「さっきからツラそうだけど、もしよかったら、ここどうぞ」
そう言って私はカバンを手にして立ち上がろうとした。
だけど。
「大丈夫だから」
冷たくそう言われてしまいプイと顔をそらされる。
大丈夫って、そんなふうには見えないんだけど。