この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
帰りのバス内はほどよく空席もあり、朝とはちがって余裕で座れるレベル。これがもう少しあとになると通勤ラッシュと重なるためそうはいかない。
だからなるべく夕方の早い時間帯のバスで帰るのが常だ。
「天使ちゃんの学校、次の停留所だっけ?」
目を輝かせる歩。そんなに桃咲を見たいのかよ。今日はいつもの定位置ではなく、歩と並んで一番うしろの座席に座っている。
俺はスマホをいじる振りをしながら内心ではそわそわしてバスが次の停留所に着くのを待った。
案の定次のバス停で桃咲が乗ってきた。こっちに向かってきた彼女と目が合い、桃咲は口元をわずかにゆるめた。
「あの子が天使ちゃん?」
その様子を見ていた歩が隣で笑ったのが気配でわかった。
「期待以上にかわいいね」
「…………」
声を弾ませる歩にモヤッとした。
「日向くん、お疲れさま」
「うん……お疲れ」
歩が俺たちを見て「え?」と困惑したような声を出す。桃咲はそんな歩に小さくペコッとお辞儀した。
「二人は知り合いなの?」
「あ、はい。ついこの間話すようになったところなんですけど」
「へえ、晴が女子とねぇ。へーえ」
なぜか一番うしろの座席に俺を真ん中にして三人横並びで座っている状態で、歩にじとっと見つめられた。