この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

「なんだよ? いいだろ、べつに」

「ただビックリしてさ。マジで意外だったから」

歩がこう言うのも無理はない。今まで女子と関わるのが面倒で必要最低限の会話しかしてこなかったからだ。もともと目つきが鋭いらしい俺は、女子に恐れられてきた。

歩は俺を『影でかなり人気がある』なんて言ってるけど実際はきっとそうじゃないはず。

「ひまりちゃんっていう名前なんだ」

「はい」

「っていうか、タメなんだから敬語はやめようよ」

「あ、はい……じゃなくて、うん!」

「ひまりちゃんの学校って進学校だよね。一日中勉強ばっかしてるイメージだな」

「もうすぐ学校祭だから、みんな準備にすごく張り切ってて。そんなにずっと勉強ばっかりしてるわけじゃないよ」

「へえ、そっか。学校祭って、ひまりちゃんはなにやるの?」

「えっと、コスプレカフェだよ」

歩のヤツ、なんだか俺より仲良くなってねーか?

ひまりちゃんって……初対面なのに馴れ馴れしすぎる。

桃咲も俺と話すときより笑ってるし。

誰とでもすぐに仲良くなれるのが歩のいいところ。初対面の相手にもガンガン話しかけて懐に入り込み、打ち解けるのも早い。歩の笑顔には人の心を惹きつける力がある。だから女子にモテるのもわかる。

なんだか面白くない。こんな気持ちは初めてだ。

それにコスプレカフェって……。

桃咲がどんな恰好をするのか気になる。

「なにムスッとしてんだよ」

「べつに……」

「晴、ウソつくの下手すぎ」

耳元で小さく噴き出されイラッとした。

こいつにはすべてお見通しのような気がしてならないから、それもまた気に食わない。

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